国民職業能力申告令(昭和14年勅令第5号)(口語訳)

※分かりやすくするために、用語を現代に合わせ、句読点をつけ、カタカナをひらがなに直しました。

第一条 国家総動員法第二十一条の規定に基づく国民の職業能力申告及びその職業能力の検査は、別に定めること以外は、この勅令に定めるとおりとする。

第二条 十六歳以上五十歳未満の男子国民で、次に該当する者を申告すべき者(以下要申告者)とする。
一 現住地で引き続き三カ月以上、厚生大臣の指定する職業に従事している者
二 前号の職業を引き続き一年以上従事した者で、退職後五年未満の者
三 厚生大臣の指定する大学、専門学校、実業学校、その他これに準ずる各種学校で厚生大臣の指定する学科を履修し卒業した者
四 厚生大臣の指定する技能者養成施設において所定の課程を修了した者
五 厚生大臣の指定する検定または試験に合格した者や厚生大臣の指定する免許を受けた者
六 その他厚生大臣の指定する者

第三条 要申告者及び前条第一号の職業に従事する者を使用している者(以下使用者)は、職業能力事項の申告義務者(以下申告義務者)とする。ただし、要申告者を臨時に使用している時はその限りではない。

第四条 国民が要申告者になった時、または、第十一条に該当する要申告者でまだ申告していない者が同条の規定に該当しなくなった時、申告義務者は、十四日以内に次の事項について、要申告者が就業中ならその就業地の職業紹介所へ、それ以外の者はその居住地の職業紹介所へ申告するものとする。申告した後、要申告者が他の地域に居住を移した時も同様に申告するものとする。
一 氏名
二 生年月日
三 本籍
四 居住地
五 兵役関係
六 学歴
七 就業者はその職業名
八 就業場所(二以上の就業場所を有する者は主な就業場所)
九 第二条第一項の職業に従事または従事したことのある者は、その職歴と技能程度
十 第二条第四号に該当する者はその修了した課程に関する事項
十一 第二条第五号に該当する者はその受けた試験、検定または免許に関する事項
十二 給料または賃金を受けている者はその額
十三 その他命令で定められた事項
2 申告義務者は、前項の申告をした後、同項第一号、第三号、第十一号の事項に異動があった時は、十四日以内にその旨申告すべきである。

第五条 厚生大臣は特に必要と認めた時は、前条の規定によって行われた申告の他に、全部または一部の要申告者に対して、前条の第一項各号にあげた事項の全部または一部について申告を命じることができる。

第六条 すでに申告した要申告者が次の各号の一に該当することになった時、申告義務者は十四日以内にその旨申告しなけれはならない。
2 前項第二号の規定によって申告をした後、要申告者が第十一条の規定に該当した時は、申告義務者は十四日以内に第四条の職業紹介所長にその旨申告しなければならない。

第七条(省略)

第八条 地方長官(知事)や職業紹介所長は、要申告者の技能、その他の職業能力についての検査をすることができる。

第九条 地方長官(知事)や職業紹介所長は、本申告または検査に対して国家総動員法第三十一条の規定に基づいて報告を求めることができる。
2 地方長官(知事)や職業紹介所長は、本申告または検査に対して必要と認めた時は、国家総動員法第三十一条の規定に基づいて、担当職員をつかって工場、事業場、その他の場所に出向き、業務の状況または帳簿、書類、その他の物件を検査させることができる。この場合、担当職員に身分証明書を携帯させなければならない。

第十条 厚生大臣が必要と認めた時、他の大臣に委託し、その所管の官庁に対して前二条の規定に準じる検査を行わせることができる。

第十一条 本勅令は、第六条第二号の規定に関しての申告以外については、陸海軍軍人の現役の者(但し、帰休している士官兵は除く)、戦争時や事変または兵役法第五十五条第二項の規定によって召集されている者、軍籍に編入された陸海軍学生生徒、陸海軍軍属、国家総動員法第四条によって徴用されている者、医療関係者、職業能力申告令によって申告をしなければならない者、獣医師法によって農林大臣の免許を受けている獣医師、船員法の船員などは適用されない。

※参照「兵役法第五十五条2」
「服役第一年次の予備兵は警備その他の必要によって召集する。帰休兵を召集すること尚兵員を要する場合に召集することとする」

第十二条 要申告者が、次の各号の一に該当する時、申告期限を延長することができる。
一 陸海軍軍人で召集中の者(ただし、前条の規定にある召集中の者を除く)
二 外国旅行中の者
三 その他の命令で定める者

第十三条 就業地について、二以上の就業地をもっている者については、主たる就業の場所の所在地、また、就業場所の一定していない者や船舶内において就業する者については居住地をもって就業地とみなす。

第十四条 要申告者で、厚生大臣の指定する官庁に使用されたり、使用されたことがある者については、職業能力申告や検査に関して命令で特別の定めをすることができる。

第十五条 第二条第六号による厚生大臣の指定する者に関しての申告に関しては、命令で特別の定めをすることができる。
2 厚生大臣は、市町村長またはこれに準ずる者に対して、命令によって必要な事務をさせることができる。

第十六条 要申告者(第二条第六号に該当する者を除く)について、国民労務手帳法施行令第一条、同令付則第二項、昭和十六年勅令第七百五号付則第二項の規定によって申請があった時は、第四条第一項の規定による申告がなされたものとみなす。
2 要申告者(第二条第六号に該当する者を除く)について、国民労務手帳法施行令第十四条、第十六条、第二十条または第二十一条第一項の規定によって報告のあった時は、第四条第二項または第六条の規定による申告がなされたものとみなす。

第十七条 本勅令中、厚生大臣とあるのは、朝鮮では朝鮮総督、台湾では台湾総督、樺太では樺太庁長官、南洋群島では南洋庁長官とする。また、地方長官とあるのは、朝鮮では道知事、台湾では州知事または庁長、樺太では樺太庁長官、南洋群島では南洋庁長官とする。また職業紹介所長とあるのは、朝鮮では府尹、郡守または島司、台湾では市尹、郡守、樺太では樺太市庁長、南洋群島では南洋長支庁長とする。

第十八条 本勅令に規定するものの他、申告に関して必要な事項は命令で定める。

付則(省略)

[制作者註]
※この勅令は昭和14年1月7日に公布されました。以後、昭和15年勅令第673号、昭和16年勅令第709号、同勅令第921号、昭和17年勅令第38号、同勅令第731号、同勅令第781号、昭和18年勅令第488号、昭和19年勅令第88号、同勅令第323号、昭和20年勅令第711号、昭和21年勅令第11号と改正が行われました。
※上記の口語訳は、昭和16年勅令第709号によるものです。

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