銃剣で奪った土地を強制使用-「公用地暫定使用法」(沖縄)(昭46・12・31)

第一条  沖縄における公用地等のための土地又は工作物に関する暫定使用について特別な措置を定める。

   沖縄は、沖縄戦と27年間に渡る米軍による直接軍事支配の中で、県民の多くの土地が「ブルドーザーと銃剣」によって奪われた。1972年、県民の戦いの結果として、曲がりなりにも「復帰」が実現した。その間、本土にあった米軍基地はかなりの数に整理縮小されていたが、沖縄では、復帰の際の米軍基地の全面返還要求どころか、「本土並み」さえ無視された。

   その根源が、この「公用地暫定使用法」(沖縄における公用地等の暫定使用に関する法律)である。日米安保条約の要である米軍基地を日本の法体系の中で一方的に沖縄に押しつけるためだけの法律で、米軍基地と復帰前にすでに配備されていた自衛隊基地を引き続き固定化させるために立法化された。

   沖縄の米軍基地は、沖縄戦の最中から県民の意思とは無関係に畑や田圃が鉄条網で囲み込まれて軍事基地化したものである。現自衛隊基地も、その前身は米軍基地であり、何らの手続きもなく米軍から自衛隊へ使用権が渡っただけである。そのような沖縄の軍事基地が施政権の日本移譲にも関わらず、何らの法的手続きもなく、次の一条で米軍(自衛隊)の軍用地としての機能を保持させることになったのである。それは、1972年(昭52)5月15日午前00時のことであった。

第二条 次の各号に掲げる土地又は工作物は、各号に掲げる者が、この法の施行の日から権原を取得するまでの間、使用することができる。
ただし、この法律の施行の日から起算して5年をこえない範囲内において当該土地又は工作物の種類及び設置場所等を考慮して必要と認められる期間として政令で定める期間を経過した日以後においては、この限りでない。
この法律の施行の際沖縄においてアメリカ合衆国の軍隊の用に供されている土地又は工作物で、次に掲げるもの(国)
引き続き自衛隊の部隊の用に供する土地又は工作物
引き続き「地位協定」に従いアメリカ合衆国の軍隊の用に供する土地又は工作物
ロの土地又は工作物で、この法律の施行の日から起算して一年を経過する日までの間に、地位協定の規定に従いアメリカ合衆国から日本国に返還され、引き続き自衛隊の部隊の用に供するもの

   しかし、国はこの法律を5カ年の暫定法として立法化した。つまり、時限立法である。5カ年が過ぎれば、当然のようにこの法律自体が無効となる。そして、5年を経過すればどうなるのかは次の条文が説明している。

第四条 第2条第1項の規定により土地又は工作物を使用する者は、同項ただし書の規定により当該土地又は工作物を使用することができなくなつたときは、遅滞なく、当該土地又は工作物をその所有者に返還しなければならない。この場合においては、政令で定めるところにより、当該土地又は工作物を原状に回復し、又は原状に回復しないことによつて生ずる損失を補償しなければならない。

   この条文で言う「第2条第1項の規定により土地又は工作物を使用する者」は「国」である。つまり、日本国は、5年後、法律による「軍用地」の権原が取れなければ「原状に回復し」、あるいは、損失を補償して地主に返還しなければならないのである。

   国の意図としては、この5年間に何とかするつもりであったのだろうが、5年後は思いの外速く来た。そして、国家が自ら作った法を守らない事態を侵したのである。

                                                                                  詳細参照「地籍明確化法」

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