第8章 雑 則              法律名は略称です。

戦争のための収用へ 手続き作って強権発動 そこのけそこのけ自衛隊が通る
通知一本で自衛隊発動 米軍との関係

戦争のための収用へ

改正前 改正後
防衛出動時における物資の収用等
第103条 第76条第1項の規定により自衛隊が出動を命ぜられ、当該自衛隊の行動に係る地域において自衛隊の任務遂行上必要があると認められる場合には、都道府県知事は、長官又は政令で定める者の要請に基き、病院、診療所その他政令で定める施設(以下本条中「施設」という。)を管理し、土地、家屋若しくは物資(以下本条中「土地等」という。)を使用し、物資の生産、集荷、販売、配給、保管若しくは輸送を業とする者に対してその取り扱う物資の保管を命じ、又はこれらの物資を収用することができる。ただし、事態に照らし緊急を要すると認めるときは、長官又は政令で定める者は、都道府県知事に通知した上で、自らこれらの権限を行うことができる。
防衛出動時における物資の収用等
第103条 条文同じ
2 第76条第1項の規定により自衛隊か出動を命ぜられた場合においては、当該自衛隊の行動に係る地域以外の地域においても、都道府県知事は、長官又は政令で定める者の要請に基き(字句訂正)、自衛隊の任務遂行上特に必要があると認めるときは、内閣総理大臣が告示して定めた地域内に限り、前項の規定の例により(削除)、施設の管理、土地等の使用若しくは物資の収用を行い、又は取扱物資の保管命令を発し、また、当該地域内にある医務、土木建築工事又は輸送を業とする者に対して、当該地域内においてこれらの者が現に従事している医療、土木建築工事又は輸送の業務と同種の業務で長官又は政令で定める者が指定したものに従事することを命ずることができる。 2 第76条第1項の規定により自衛隊か出動を命ぜられた場合においては、当該自衛隊の行動に係る地域以外の地域においても、都道府県知事は、長官又は政令で定める者の要請に、自衛隊の任務遂行上特に必要があると認めるときは、内閣総理大臣が告示して定めた地域内に限り、施設の管理、土地等の使用若しくは物資の収用を行い、又は取扱物資の保管命令を発し、また、当該地域内にある医務、土木建築工事又は輸送を業とする者に対して、当該地域内においてこれらの者が現に従事している医療、土木建築工事又は輸送の業務と同種の業務で長官又は政令で定める者が指定したものに従事することを命ずることができる。
3 災害救助法(昭和22年法律第118号)第23条の2第2項及び第3項並びに第23条の3の規定は、前2項の規定により施設を管理し、土地等を使用し、物資の保管を命じ、又は物資を収用する場合について、同法第23条の2第2項、第24条第5項及び第29条の規定は、前項の規定により医務、土木建築工事又は輸送に従事する者を長官又は政令で定める者の指定した業務に従事させる場合について準用する。 3 前2項の規定により土地を使用する場合において、当該土地の上にある立木その他土地に定着する物件(家屋を除く。以下「立木等」という。)が自衛隊の任務遂行の妨げとなると認められるときは、都道府県知事(第1項ただし書の場合にあつては、同項ただし書の長官又は政令で定める者。次項、第7項、第13項及び第14項において同じ。)は、第1項の規定の例により、当該立木等を移転することができる。この場合において、事態に照らし移転が著しく困難であると認めるときは、同項の規定の例により、当該立木等を処分することができる。
改正後(新)
4 第1項の規定により家屋を使用する場合において、自衛隊の任務遂行上やむを得ない必要があると認められるときは、都道府県知事は、同項の規定の例により、その必要な限度において、当該家屋の形状を変更することができる。

[解説]
 旧条文では、国民の生命と生活と財産を災害から救助するために「災害救助法」による「救助に必要な物資の生産、集荷、販売、配給、保管若しくは輸送を業とする者に対して、その取り扱う物資の保管を命じ、又は救助に必要な物資を収用することの命令」や「医療、輸送、土木事業関係者の救助作業への従事命令」の発動を自衛隊法でも準用していたが、この条項の準用を取りやめ、新たに「武力攻撃事態」に備えた視点から条文化された。(詳細は後述)。そして、改正された条文は、災害救助という側面とは完全に独立した新しい内容となって、国民の財産を一方的に処分できる法的根拠を与えたものになっている。

 自衛隊法第103条第1項から第4項までは、国民の財産に対する自衛隊の収用条項である。この収用については、旧条文では、1項または2項においてののみ不服異議申立ての禁止であったが、今回の改悪では、3項を明文化し4項を新設して、1項から4項までのすべての命令に対して不服異議申立てを禁止している。事実上の有無を言わせない強権発動となっている。

 今回の改悪で強権が発動されるのを整理すると次のようになる。

発動者 対               象 発 動 の 種 類
103条1項-自衛隊の行動地域(展開予定地域)では
都道府県知事 @病院、診療所、その他の施設 管理する
A土地、家屋、物資 使用する
B物資の生産、集荷、販売、配給、保管、輸送を業とする者 その物資の保管を命じる
C(上記の)物資(指定されていない) 収用する
防衛長官・他 D緊急の場合は知事に通知し、上記の@〜Cを直接執行する。
103条2項-自衛隊の行動地域以外の地域では
都道府県知事 @病院、診療所、その他の施設 管理する
A土地、家屋、物資 使用する
B物資(指定されていない) 収用する
C物資(指定されていない) 保管を命令する
D医務、土木建築工事、輸送を業とする者 指定業務に従事させる
103条3項-土地を使用する場合
都道府県知事
防衛長官・他
@土地の上にある立木その他土地に定着する物件 移転する
A土地の上にある立木その他土地に定着する物件 処分する
103条4項-家屋を使用する場合
都道府県知事 家屋の形状 変更する

[解説]
 これらのことは、太平洋戦争中に発動されていた「国家総動員法」を思い起こさせる。
    この法律では、「勅令が定めることによって国民を徴用して、国家総動員業務に尽かせることができる」とし、次の業務に強制的に従事させていた。今回の改悪では「徴用」の範囲はまだ狭いが、「国家総動員法」に基づく徴用も諸勅令の改正を繰り返しながら次第に厳しくなっていったことを教訓としなければならない。

◇参考「国家総動員業務」
@物資の生産、修理、配給、輸出、輸入又は保管に関する業務 A運輸又は通信に関する業務
B金融に関する業務 C衛生、家畜衛生又は救護に関する業務
D教育訓練に関する業務 E試験研究に関する業務
F情報又は啓発宣伝に関する業務 G警備に関する業務
H国家総動員上必要な業務

    上記の表を見る限り、国民の行う労働のすべてについて動員されたことになり、また、総動員に必要な物資も指定して、その保管、収用、使用等を規定していた。

◇参考「国家総動員物資」
@兵器、艦艇、弾薬その他の軍用物資 A被服、食糧、飲料及飼料
B医薬品、医療機械器具その他の衛生用物資及び家畜衛生用物資 C船舶、航空機、車両、馬その他の輸送用物資
D通信用物資土木建築用物資及び照明用物資 E燃料及び電力
F生産、修理、配給又は保存に要する原料、材料、機械器具、装置その他の物資
G勅令で指定する国家総動員上必要な物資

   「国家総動員法」においては、国民の物資をすべて収用(徴用)したわけだが、今回の改悪ではその物資がどのような物資かさえも規定されておらず、それだけに運用次第ではどこまでも拡大できるようになっている。
                                                                                参照「国家総動員法」「国民徴用令]

いろいろと手続きを作って強権発動へ

改正前 改正後(新)
4第2項に規定する医療、土木建築工事又は輸送に従事する者の範囲は、政令で定める。 103条5項 (条文同じ)。
改正後(新)
103条6項 第1項本文又は第2項の規定による処分の対象となる施設、土地等又は物資を第76条第1項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の用に供するため必要な事項は、都道府県知事と当該処分を要請した者とが協議して定める。
103条7項 第1項から第4項までの規定による処分を行う場合には、都道府県知事は、政令で定めるところにより公用令書を交付して行わなければならない。ただし、土地の使用に際して公用令書を交付すべき相手方の所在が知れない場合その他の政令で定める場合にあつては、政令で定めるところにより事後に交付すれば足りる。
103条8項 前項の公用令書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。(要旨)
一 氏名(法人名称)及び住所  
二 根拠となった法律の規定  
三 次に定める事項
イ 所在地及び管理期間
ロ 土地又は家屋の所在地及び使用期間
ハ 物資の種類、数量、所在地及び使用期間
ニ 保管すべき物資の種類、数量、場所及び期間
ホ 収用物資の種類、数量、所在場所及び収用期日
ヘ 従事業務、場所及び期間
ト 移転又は処分する立木等の種類、数量及び所在場所
チ 形状を変更する家屋の所在地及び変更の内容
四 当該処分を行う理由
103条9項 前2項に定めるもののほか、公用令書の様式その他公用令書について必要な事項は、政令で定める。
103条10項 都道府県(第1項ただし書の場合にあつては、国)は、第1項から第4項までの規定による処分(第2項の規定による業務従事命令を除く。)が行われたときは、当該処分により通常生ずべき損失を補償しなければならない。
103条11項 都道府県は、第2項の規定による業務従事命令により業務に従事した者に対して、政令で定める基準に従い、その実費を弁償しなければならない。
103条12項 都道府県は、第2項の規定による業務従事命令により業務に従事した者がそのため死亡し、負傷し、若しくは疾病にかかり、又は障害の状態となったときは、政令で定めるところにより、その者又はその者の遺族若しくは被扶養者がこれらの原因によつて受ける損害を補償しなければならない
103条13項 都道府県知事は、第1項又は第2項の規定により施設を管理し、土地等を使用し、取扱物資の保管を命じ、又は物資を収用するため必要があるときは、その職員に施設、土地、家屋若しくは物資の所在する場所又は取扱物資を保管させる場所に立ち入り、当該施設、土地、家屋又は物資の状況を検査させることができる。
103条14項 都道府県知事は、第1項又は第2項の規定により取扱物資を保管させたときは、保管を命じた者に対し必要な報告を求め、又はその職員に当該物資を保管させてある場所に立ち入り、当該物資の保管の状況を検査させることができる。
103条15項 前2項の規定により立入検査をする場合には、あらかじめその旨をその場所の管理者に通知しなければならない。
103条16項 第13項又は第14項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
改正前 改正後(新)
5(項訂正) 前4項(字句訂正)に定めるもののほか、第76条第1項の規定により自衛隊が出動を命ぜられた場合における施設の管理、土地等の使用、物資の保管命令、物資の収用又は業務従事命令について必要な手続は、政令で定める。 103条17項 前各項に定めるもののほか、第1項から第4項までの規定による処分について必要な手続は、政令で定める。
6(項訂正) 第1項又は第2項(字句訂正)の規定による処分については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。 103条18項 第1項から第4項までによる処分については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。
改正後(新)
103条19項 第1項から第4項まで、第6項、第7項及び第10項から第15項までの規定の実施に要する費用は、国庫の負担とする。

[解説]
    第103条の第5項から第19項までは、主としてこの条項で規定されている「収用」に際しての「公用令書」の発行など手続き等について規定している。

    その中で、自衛隊の出動業務による損失の保障や業務従事者の実費支給、死亡等による家族への扶助などが規定されているが、このことは、「国家総動員法」にもとづく「国民徴用令」にも規定されていた。しかし、そのことを含め、実際の運用の現場ではこのような規定が効力を発することはほとんどなかったことを沖縄戦の体験者は証言している。

   なお、13項と14項では、手続き上、国民の自由と権利、財産権の侵害になる恐れが生じる条文であり、罰則もついている。

発動者 対 象 発動の種類
103条13項
都道府県知事 @病院、診療所、その他の施設 立ち入り
検査させる
A土地、家屋、物資
B物資の生産、集荷、販売、配給、保管、輸送を業とする者
C物資(指定されていない)
103条14項保管させた時
都道府県知事 @保管を命じた者へ 報告を求め
立ち入り
検査させる

    なお、沖縄戦に関して、「徴用」や「供出」の無謀さがあたかも法規制のない中で行われていたかのような発言が国会審議であったが、「無知」もいいところである。沖縄戦体験者の無知は知らされなかった無知だったが…、そのことが沖縄戦の悲惨さを増大させた一側面をもっていたことは悲しい歴史の教訓である。現時点でのこのような「無知」が、再び悲惨な戦争に国民を巻き込もうとしていることに強い憤りを感じる。
                                               参照「証言が語る徴用」

そこのけそこのけ自衛隊が通る

改正後(新)
展開予定地域内の土地の使用等
第103条の2  第77条の2の規定による措置を命ぜられた自衛隊の部隊等の任務遂行上必要があると認められるときは、都道府県知事は、展開予定地域内において、長官又は政令で定める者の要請に基づき、土地を使用することができる。
2 前項の規定により土地を使用する場合において、立木等が自衛隊の任務遂行の妨げとなると認められるときは、都道府県知事は、同項の規定の例により、当該立木等を移転することができる。この場合において、事態に照らし移転が著しく困難であると認めるときは、同項の規定の例により、当該立木等を処分することができる。
3 前条第7項から第10項まで及び第17項から第19項までの規定は前2項の規定により土地を使用し、又は立木等を移転し、若しくは処分する場合について、同条第6項、第13項、第15項及び第16項の規定は第1項の規定により土地を使用する場合について準用する。この場合において、前条第6項中「第76条第1項の規定により出動を命ぜられた自衛隊」とあるのは、「第77条の2の規定による措置を命ぜられた自衛隊の部隊等」と読み替えるものとする。
4 第1項の規定により土地を使用している場合において、第76条第1項の規定により自衛隊が出動を命ぜられ、当該土地が前条第1項又は第2項の規定の適用を受ける地域に含まれることとなったときは、前3項の規定により都道府県知事がした処分、手続その他の行為は、前条の規定によりした処分、手続その他の行為とみなす。

[解説]
    第103条の規定が「武力攻撃事態」による出動に対応しているのに対して、第103条の2の規定は、「武力攻撃事態の予測」による出動に対応している。この場合土地の使用に限定されているが、その権限は前条の準用で何ら変わらない。

発動者 収 用 対 象 発動の種類
103条の2の1項-自衛隊の展開予定地域内では
都道府県知事 @土地を使用することができる 使用する
103条の2の2項-土地を使用する場合
都道府県知事 @立木等 移転する
A立木等 処分する
103条3項の準用
都道府県知事 @土地の上にある立木その他土地に定着する物件 立ち入り
A土地の上にある立木その他土地に定着する物件 検査させる

話し合いやめて通知一本で自衛隊発動

[解説]
    以下第115条から第115条の21は、自衛隊の出動業務の際に一般法令に特例条項を設けたり、適用除外を規定したりして、出動業務を軍事優先にするための法制である。条文を省略して区分によって法令を列記する。

特例条項及び適用除外条項

旧条項における「適用除外」法令 新たに追加された「適用除外」法令
@「火薬類取締法」
A「航空法」等…「航空法」「航空・鉄道事故調査委員会設置法」
B「労働組合法」等…「労働組合法」「労働関係調整法」「労働基準法」「船員法」「最低賃金法」「じん肺法」「船員災害防止活動の促進に関する法律」「労働安全衛生法」
C「船舶法」等…「船舶法」「船舶安全法」「船舶のトン数の測度に関する法律」「小型船舶の登録等に関する法律 船舶職員及び小型船舶操縦者法」
D「電波法」
E「道路運送法」
F「道路運送車両法」
G「土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法」
H「銃砲刀剣類所持等取締法」
I「消防法」
@「消防法」
A「墓地、埋葬等に関する法律」
B「医療法」等…「医師法」「歯科医師法」「診療放射線技師法」「歯科技工士法」「採血及び供血あつせん業取締法」「臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律」「薬事法」薬剤師法」「救急救命士法」
C「港湾法」
D「土地収用法」
E「森林法」
F「道路法」
G「土地区画整理法」
H「都市公園法」
I「首都圏近郊緑地保全法」
J「近畿圏の保全区域の整備に関する法律」
K「都市計画法」

[解説]
   今回の改悪の第二のポイントである。新たに追加された「特例」及び「適用除外」の法令は以下分類のとおりである。この膨大な数の法が「特例」及び「適用除外」となっているが、「武力攻撃事態」及び「武力攻撃事態の予測事態」がいかに国民の生活と密接につながったところで発動されるかを物語っている。それはまた戦争が平時とはいかに異なるかということではある。つまり、平時の法治社会でのルールを守っていては戦争はできないことを示している。

   そのことは当然ではあるが、平時における国民の生活がこれらの法制によって安全が保障されているという観点に立てば、今回の有事法制が、戦争への脅威をその分だけ国民の平時生活へ持ち込んだとも言えよう。現在種が蒔かれた「有事法制」が、国家権力は、今後さらに、「特例」や「適用除外」を増やしながら強化されていくことは必然であり、平時の法制と競合する戦争法制を進めていくことも当然と思われる。

    前述した、太平洋戦争時の「国家総動員業務」の拡大と同様、新たに国民を強制動員していくためにその数を増やしていくことは火を見るより明らかである。国家権力は一度には発動しない。戦争に対応した業務の最も近い部分から取り込んでいくことは洋の東西を問わず歴史が証明する真実である。今回の改悪も当面、生産、医療、土木建設、運輸等が対象となっていることはそのことの証でもある。

新たに追加された「特例」となる法令とその内容
法令 改正前 改正後
麻薬及び向情神薬取締法等 部隊長の麻薬等の所持 部隊長及び部隊の医師及び歯科医師の麻薬等の所持使用
建築基準法 @「その建築工事を完了した後三月をこえて」
A「特定行政庁の許可」
@「自衛隊法第76条第2項若しくは武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律第9条第10項後段の規定による撤収を命ぜられ、又は同法第77条の2の規定による命令が解除された後においても」
A「当該撤収の命令又は命令の解除があった後、速やかに特定行政庁に申請し、その許可」
漁港漁場整備法(※1) 「協議」 「通知」
港湾法 「協議」「許可」 「通知」
森林法 「伐採するには、…届出書を提出」 「伐採したときは…通知」
道路法 「協議、その同意」 「通知」
都市公園法 「協議が成立」 「通知」
海岸法 「協議」 「通知」
自然公園法 「協議」 「通知」
道路交通法 「許可」 「通知」
河川法 「許可又は承認」 「通知」
都市緑地保全法 「協議」 「通知」

[解説]
    一目瞭然である。つまり、旧条文が「協議」や「許可」「承認」を前提としての自衛隊の特例業務であったが、今回の改悪によって、一方的な「通知」によって自衛隊が特例業務を発動できるようになっている。 

(※1)第115条の6
2  前項の規定により読み替えられた漁港漁場整備法第39条第4項 の通知を受けた漁港管理者は、漁港の保全上必要があると認めるときは、当該通知をした部隊等の長に対し意見を述べることができる。

  これは、「漁港漁場整備法」特例条項の中で設定されている条文であるが、「特例」が設定されている法令にはほとんどこの類の条文がついている。特例によって被害が及ぶことを想定して、その被害に対する具申権ともいえる。国家権力もなかなかやるじゃないか、という声も聞こえてきそうな条文ではある。しかし、このような条文は、運用の段階ではあまり意味を持たない。

 権力を持った自衛隊の業務に対して意見を具申しても、それはそれだけで終わってしまうことは沖縄戦の証言の中には無数に出てくる事項である。それは、沖縄戦だけでなく、戦争という異常事態の中の具申は、状況によっては具申する側の非協力が逆に攻撃されることが多かった。つまり、「お前は非国民だ!」というあの忌まわしい言葉によってである。    
 
                                                                  参照「証言が語る徴用」「証言が語る供出」「沖縄戦と法制
米軍との関係

第100条の10
内閣総理大臣又はその委任を受けた者は、次に掲げる合衆国軍隊から要請があつた場合、自衛隊に属する物品の提供を実施することができる。
一 自衛隊との共同訓練を行う合衆国軍隊
二 災害に際して、政府の要請に基づき災害応急対策のための活動を行う合衆国軍隊
三 外国における緊急事態に際して邦人の輸送活動を行う合衆国軍隊
四 訓練、連絡調整その他の日常的な活動のため、一時的に滞在する合衆国軍隊
2 長官は、合衆国軍隊から要請があつた場合、防衛庁本庁の機関又は部隊等に、役務の提供を行わせることができる。
第100条の11 合衆国軍隊に対し、物品の提供を実施する場合及び役務の提供を実施する場合の決済その他については、「日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」(日米役務協定)の定めるところによる。

[解説]
「日米安保条約」によって日米の軍事同盟の要素が拡大化しているが、この条文もその一つを示している。この条文の運用はは有事法制化に伴い改正された「日米役務協定」によってなされるので、詳細はその項で述べる。
                                                                               参照「日米役務協定

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