米軍行動円滑化法(武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律)
                            04・9制作(法律名は略称、条文は整理して表現してあります。)

関連法 1 国民の財産を米軍へ提供「米軍用地特措法 1952年(昭27)制定
2 銃剣で奪った土地を強制使用「公用地暫定使用法」 1972年(昭47)制定
3 国家が米軍のために不法行為「地籍明確化法」 1977年(昭52)制定
4 再び不法行為で醜態晒す国家権力「米軍用地特措法改正版 1997年(平9)改正
5 どさくさに紛れた法改悪「米軍用地特措法再改正版」 1999年(平11)改正

   はじめに

   この法律は、有事法制の一貫として作られたものであるが、日本には、有事法制以前からの「安保条約」に基づいた米軍優先の法律が他にもある。この「円滑化法」もそれらと連動して発動されるのであるから、ぜひ上記の関連法も参照してほしい。

目的 この法律は、武力攻撃事態等において、 「日米安保条約」に従って米軍の行動が円滑かつ効果的に実施されるためとそれに伴う我が国の実施することについて定める。

   何のことはない。有事の際に、米軍の行動に優先的な措置を実施し、米軍の行動によって生じるであろう日本の対応すべき措置についても決めておこう、というものである。

   第2条の5項で、「行動関連措置」という新しい用語が登場するが、その意味は次の通りである。

武力攻撃事態等において、米軍の行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置とその他の米軍の行動に伴い日本が実施する措置のことをいう。

   これもまた、何のことはない。つまり、米軍のために行われる措置(米軍自身と自衛隊などの行動)のうち、自衛隊を含む政府機関が行うもののことである。したがって、国民生活を大きく犠牲にすることが予想される。条文にも、「事態に応じ合理的に必要と判断される限度を超えるものであってはならない。」と規定されているが、それは以下の解説で単なる形だけのものであることが理解される。

   住民避難より米軍の作戦優先-まず 、第8条における次の条文である。

政府は、米軍の行動又は行動関連措置の実施が地方公共団体の実施する対処措置(事態対処法第2条第7号)に影響を及ぼすおそれがあるときは、関係する地方公共団体との連絡調整を行うものとする。

  米軍や自衛隊の行動が地方公共団体が行う「対処措置」に影響を与えるおそれが生じた時に、政府は、関係地方公共団体と調整を行う、という条文である。これだけでも、戦時においては、米軍・自衛隊優先であることが理解できるが、ちなみに、「事態法第2条7号」で行われる「対処措置」は次の二つ(イとロ)である。

イの措置
(1) 自衛隊の武力行使、部隊等の展開、その他の行動
(2) (1)に掲げる自衛隊の行動及び米軍の行動が円滑・効果的に行われるために実施する物品、施設又は役務の提供その他の措置
(3) 外交上の措置その他の措置
ロの措置
(1) 警報の発令、避難の指示、被災者の救助、施設及び設備の応急の復旧、その他の措置
(2) 生活関連物資等の価格安定、配分その他の措置

   そして、上記二点のうち地方公共団体が行う「対処措置」はロの措置である。つまり、有事の際に、住民を避難させ、避難生活のサポートをする都道府県や市町村が行う住民を戦争から守ることである。戦場において、多数の住民避難そのものが不可能な状態が戦争であるが、条文の上においても軍隊優先、住民軽視を明文化しているが、このことはこの条文だけではない。

                                                            参照「国民保護法」

   国内道路も米軍・自衛隊が優先-二番目は、次の第9条である。

防衛庁長官は、合衆国軍隊から、「自衛隊法」第115条の11第1項または第2項、第115条の16第1項に規定する行為の連絡を受けたときは通知する。

   自衛隊の車両には、一般国民が規制される「道路交通法」などの一部が適用されない特例がある。上記の「『自衛隊法』第115条の11第1項または第2項、第115条の16第1項に規定する行為」とは、その特例を利用して、「通れなくなった道路の迂回路の建設」や「防御施設の構築」をしたり、「他の道路の占用」などをすることである。

   この条文は、これら自衛隊に許された特例を米軍にも当てはめ、しかもその通知を防衛庁長官がする、というものである。  

   「なんでもかんでも差し上げます」-三番目は、次の第10条で、ポイントは、

内閣総理大臣(その委任を受けた者)は、行動関連措置としての自衛隊に属する物品の提供を行う。
2 自衛隊は、行動関連措置としての役務の提供を行う。
3 防衛庁長官は、防衛庁本庁又は自衛隊の部隊等に、行動関連措置としての役務の提供の実施を命ずる。
4 物品の提供及び役務の内容は、補給(武器の提供を行う補給を除く。)、輸送、修理や整備、医療、通信、空港や港湾に関する業務、基地に関する業務、宿泊、保管、施設の利用や訓練に関する業務(それぞれ附帯業務を含む。)とする。

   自衛隊が、米軍の下で、役務をしたり、物品を米軍に提供して、米軍の戦闘を側面から支援するものである。

                                                                                                         参照「改正日米物品役務協定」   

   土地も家も強制収用-四番目は、第15条です。

総理大臣は、米軍のため土地や家屋を緊急に必要とする場合、「米軍用地特措法」規定にかかわらず、土地又は家屋を使用することができる。

                                                                                          参照「米軍用地特措法
第2項以下を含めて整理すると次表になる。

総理大臣 土地又は家屋の使用 立ち入り、検査
立木等の移転・処分 *
家屋の形状変更

   総理大臣は、米軍の作戦行動のために必要とあれば、国民の土地や家屋をこの法律によって強制使用することができる。そして、使用する土地にある「立木その他土地に定着する物件」が米軍の作戦行動にとって「妨げ」となる時は、それらを移転することができるし、移転が困難な時は処分することができる。また、家屋を使用するときにその家屋の形を変えること(壊すこと)もできる。

   さらに、土地や家屋を使用する時には、その場所に立入り、土地や家屋の状況を検査させることができる。これらの条文または内容は「自衛隊法」にもあり、自衛隊法の「準用」となっている。
                                                                                             参照「改正自衛隊法」国民保護法
    「立入検査」拒否に罰則(第17条)

執行者 対象 内容 罪状
内閣総理大臣 個人
法人(行為者・法人)
・土地の使用 ・立入り
・検査 
・拒否
・妨害
・忌避
20万円以下の罰金
・家屋の使用


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